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☆特集 深海に学ぶ file.06: 『マッコウクジラ』

☆特集 深海に学ぶ file.06: 『マッコウクジラ』_a0012103_8465676.jpg

一昨年にマッコウクジラ逢いに行った時の数少ない写真の1つ。
マッコウクジラは水深3000メートルという驚異的な潜水記録を持っているわけで、
哺乳類でありながら信じられない話で、そして哺乳類で最も深くまで潜れる生き物だろう。
というか、これほど深海と浅海を行ったりきたりする生き物って他にいるのだろうか。
このどちらの世界も熟知している生き物なのかもしれない。
マッコウクジラは息継ぎに20分程度水面に上がり、全身の筋肉に酸素を蓄えまた潜る。実に10分もの間呼吸を必要とせず潜ることができる。
マッコウクジラはハクジラの仲間では地球上で最大の大きさを誇る一方、
主食はイカ類でありながら大きな身体を維持するのに大量の餌を必要としながら、
浅海ではライバルが多いため、生き残っていけないことから深海のダイオウイカを狙うようになったと言われている。

前回の話で死体となったマッコウクジラが深海へと沈んだ場合、
深海の生き物たちにとっては大変なご馳走であるという話をしたが、
こうした死体となって沈んだマッコウクジラのいる深海では様々なことが起こっている。

マッコウクジラの死肉が食い尽くされ、骨だけになるころ、今度は骨を狙った生き物がやってくる。
ホネクイハナムシという多毛類の仲間だ。
鮮やかな赤色をしており、透明感のある様相をしていて、姿だけを見るとゾンビワームという異名が想像つかない。
流石に写真がないので、興味のある人は自身で探してみて欲しい。
彼らは身体の根元に細菌を共生させており、この細菌がマッコウクジラの骨を有機分解し、
ホネクイハナムシは細菌が分解したものを吸収している。
そのためホネクイハナムシには口やら消化器官がなく、面白い生き物だ。
前回の話で熱水噴出孔付近にはメタンや硫化水素を利用して化学合成をするバクテリアがいるという話をしたが、
その類同様、隔離された環境の中で独自の生態系を築き上げている、最近注目されている話題である。
最もホネクイハナムシは熱水噴出孔付近で化学合成を行う一種、ハオリムシが進化したのではないかと言われているが…
そしてホネクイハナムシはクジラの死体にしか付着しないと言われており、
クジラの骨をおおかた喰らい尽くしてしまうと、またどこにあるかわからないクジラの骨を求めて彷徨っていくのである。

ホネクイハナムシがクジラの骨を喰らい尽くした残骸が古くなってくると硫化水素を発するようになる。
そう、熱水噴出孔付近と同じような環境ができるのである。
この頃になるとやってくるのが二枚貝のヒノマクラと呼ばれる一種。
彼らもまた体内に化学合成をするバクテリアを飼っていて、バクテリアが合成する化合物から必要なエネルギーを摂取している。

このようにして、命を終え、たまたま深海に沈んでしまったマッコウクジラからでも様々な生態系が成り立っているわけで、
偶然と言ってもいいのか、生命の連鎖は実に不思議。
そして私たちの知らない深海ではこういった不思議が日常茶飯事に起こっているわけだ…
by argon-l | 2008-03-29 08:47 | 南紀マリンレジャー

各地の水族館で撮った魚たちの写真を紹介♪


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