ユノハナガニ
2008年 12月 09日

以前「深海特集」をしたときにお話したことのある種ですが、単体でクローズアップしたいと思います。
深海の熱水噴出孔付近に生息するカニ、ユノハナガニです。
水深450mくらいになってくると熱水が噴出するような場所があり、ここでは300℃以上にもなる高温熱水が湧き出ています。
世界的に見てもこの条件下に当てはまれば生息しているだろうと考えられていますが、
深海生物ゆえにまだまだ生息域が確認されておらず、日本の深海探査船「しんかい6500」で捕獲されたり、
フィリピン海でユノハナガニ科の仲間が新たに見つかっている程度に留まっているようです。
そのため、学名にもAustinograea yunohanaとつけられ、「温泉に舞う湯の花」という意味を込められて、実に和風テイストな名前がつけられています。
300℃という大変な高温熱水が湧き出る場所に生息しているわけですが、
何も「300℃という温度に耐えられる」というわけではなくて、
危険な熱水を探知する器官が発達しており、もちろん300℃もの高温に当たれば茹で上がってしまいます。
深海という暗い場所のため、目が退化しており、視力を持たない代わりにこういう器官が発達したり、
また、匂いに大変敏感なため、捕獲時も魚肉を入れた籠を置いておくと我先にとわさわさやってくるそうです。
視力がないと言っても光を感じる眼点を持っているそうで、
例えば水族館のような水槽で飼育されている場合、
明るいうちはジッとしていて、暗くなると活動し出すことが確認されています。
深海生物の多くは、高温または低温、高圧でないと生きられない生き物が数多く存在しますが、
ユノハナガニはこれらの条件を必要とせず、比較的飼育が容易であると言われています。
生態的にも面白い特徴を持っていることや、彼らが生息する環境に大変関心が寄せられ、
最近では研究が盛んに行われたり、飼育されるケースもいくらか増えてきているようです。
まだまだ飼育下での繁殖例はないのですが、その一歩手前まできているようで、今後の経過が楽しみです。
by argon-l
| 2008-12-09 07:24
| 油壺マリンパーク
